中学校 理科 1年 【1-1動植物の分類 読み物 (p.59)】

子孫をふやすための方法

●花粉の運ばれ方
動物は,いっぱんに雄と雌が出会い,雄の精子が雌の卵と受精して,やがて子がうまれます。では,動物のように自ら動きまわることができない植物は,どのようにして子孫をふやし,生活場所を広げていくのでしょうか。
多くの植物の花には,ハチやアブなどの昆虫が集まります。このとき,花粉が昆虫のあしなどについて運ばれて受粉が起こり,果実や種子ができます。
一方,マツやスギなどの裸子植物の花には,昆虫をひきつける色あざやかな花弁も蜜もありません。マツやスギなどは,風で運ばれる花粉によって受粉しています。
被子植物でも風を利用して受粉する種類は少なくありません。私たちの大事な主食となる米をつくるイネも,その1つです。
〔例〕
・農業では,リンゴ,サクランボ,イチゴ,ミカンなどの花を受粉させるためのハチを飼育している。
・マツやスギなどは大量の花粉をつくり出すので,たくさんの雌花が受粉できる。昆虫による受粉に比べると,風で雌花まで運ばれて受粉する植物は少ない。
・イネの花には花弁がなく,花がさいている時間は約90分しかない。花がさく時期に雨の日が多いと,受粉がうまく起こらずに不作になることがある。

●種子の運ばれ方
植物の種子も動物や風などによって運ばれ,広がっていきます。
たとえば,リンゴやサクラなどの種子は,果実を食べた動物によって遠くまで運ばれ,ふんとしてからだの外に出されます。
マツの種子には羽根がついていて,落ちるまでに時間がかかるため,その間に風に流され,木からはなれていきます。
〔例〕
・オナモミの果実は,その外側にとげがあり動物にくっつくため,中の種子が遠くに運ばれる可能性がある。
・カエデの果実は羽根の形をしていて,風に運ばれる。
・ホウセンカでは,果実が熟すと種子がはじき飛ばされる。
・タンポポの果実には綿毛があり,風に運ばれる。

体温の保ち方

変温動物は,からだの中で熱をつくるしくみがあまり発達していないため,外界の温度によって体温が変化します。それを防ぐために,たとえば,トカゲはまわりの熱を利用します。朝になるとトカゲは日なたに出て体温を上げ,体温が上がりすぎると,すずしい日かげに移動します。
スズメやネコなどの恒温動物は,からだの中で熱をつくるしくみが十分に発達していて,外界の温度によらず体温を一定に保つことができます。そのかわり,恒温動物は変温動物に比べ,熱のもととして,多くの養分を必要とします。
 
外界の温度と動物の体温 
気温が20℃の場合,イモリやトカゲなどの変温動物の体温は,ほぼ気温と同じ20℃になるが,スズメやネコなどの恒温動物は本来の体温を保つことができる。


卵ではなく子をうむ魚類

魚類の多くは卵をうみますが,卵が母親の体内にとどまってふ化してから,子のすがたでうまれる種類も少なくありません。このようなうまれ方を「卵胎生」といいます。卵でうまれる場合,卵には感覚器官も運動器官もないので,それを食べる動物から逃げることはできません。しかし,卵胎生で子のすがたでうまれると,すでに目やひれがあるので,逃げたりかくれたりすることができ,生き残る確率が高くなります。


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