ショート回路
下の図の(a)や(b)のように,乾電池の+極と−極を導線だけで直接つなぐと,回路に大きな電流が流れて,導線や乾電池が熱くなり危険です。これを「ショート回路」といいます。
電流計は電流が非常に流れやすくできているので,(c)のように電流計を誤ってつないだ回路もショート回路になり,電流計がこわれることがあります。
プリント配線板の回路
電気製品の回路には,プリント配線板とよばれるものが使われています。プリント配線板は,電気を通さない板(基板)の上に,電流の通り道となる銅をうすくはり付けたものです。印刷と似た技術を使って,複雑な配線を行う回路を大量生産することができます。
プリント配線板は,配線が基板の片面や両面につくられています。配線が基板の両面につくられているものは,表と裏をつなぐ穴を通して電流が流れます。さらに,基板が何層にも重ねられて,配線がつくられている場合もあります。これによって,複雑な回路でも,小さな基板で多くの電子部品をつなぐ配線が可能となり,電気製品の小型化に役立っているのです。
身のまわりで使われるモーター
家庭内で使われているモーターは,想像する以上にたくさんあります。たとえば,せん風機,エアコン,ヘアドライヤー,洗たく機,掃除機,電子レンジのターンテーブル,ミキサーといった動く部分のある製品に使われています。
また,クオーツ時計,CDやDVDのプレーヤー,パソコンのハードディスクには,回転数を正確に決められる性能をもったモーターが使われます。
携帯電話にもモーターが使われています。着信をブルブルと振動で知らせるバイブレーターは,小さなモーターによって振動をつくり出しています。
これらのモーターを合わせると,各家庭にあるモーターは,数十個となり,さらに自動車に使われているものを合わせると100個以上にもなるのです。
磁界によって曲がる電子線
クルックス管をはさむようにして磁石を置き,電子線が磁界の中を進むようにすると,電子線は磁界によって進む方向が曲がります。この現象は,電子(電気をおびた粒子)が磁界の中を進むと,進む方向とは直角の方向に力を受けることを示しています。
電流の流れる導線が磁界から力を受けるのは,導線の中の電子が磁界から力を受けるためです。
静電気発生装置
バンデグラフとよばれる静電気発生装置があります。バンデグラフは,モーターでベルトを回転させ,ベルトと下部のローラーの摩擦によって発生した静電気を,上部の大きな金属球にためます。下の写真のように,金属球に人がふれたまま静電気を発生させると,人の体にも静電気がたまって,髪の毛が逆立ちます。
バンデグラフに似た装置は,古くから作られていました。18世紀の江戸時代の日本にも,ヨーロッパから静電気発生装置が伝わりました。日本に持ちこまれたときはこわれた状態でしたが,平賀源内(1728〜1780年)はそれを入手して,想像力をはたらかせて修理し,使えるようにしました。修理した静電気発生装置は,「エレキテル」とよばれています。彼は,さまざまな科学に興味をもち,ヨーロッパから本を取り寄せて研究した人でした。
コピー機に利用される静電気
コピー機には静電気が利用されています。
はじめ,感光ドラムとよばれる部分に電気をおびさせておきます。感光ドラムの表面は,光が当たると電気が流れやすくなる性質をもっています。ここに,コピーする文書からの反射光を当てます。すると,強い反射光が当たった部分だけ電気が流れやすくなり,感光ドラムの表面から電気が外へにげてなくなります。
このようにして,感光ドラムの表面には,電気をおびた部分とおびていない部分とができます。電気をおびたところだけにトナーとよばれる粉を静電気の力でくっつけ,それを紙に写し取っているのです。
雷の正体
雷は自然界で起こる放電現象です。雷雲の中では,気流によって氷の粒がこすれ合い,静電気がたまります。この電気が,雲と雲の間や,雲と地面の間で放電するのが雷の「いなずま」です。このとき,電気が流れにくい空気中を無理やり電気が流れるために大きな音が発生し,「雷鳴」となります。
雷が電気の流れであることを確かめたのは,アメリカのフランクリン(1706〜1790年)でした。彼は,たこを雷雲に向けてあげ,たこ糸に電気を伝わらせました。そして,その電気をライデンびんとよばれる装置にため,雷が電気である証拠を示したのです。